シニアの転職「やってはいけない」ベスト3

ある時期、ガッツリ「採用する側」に回ったことがあります。転職サイト経由で応募してきた人の面接と評価だけではなく、転職サイトに掲載する募集要項や案内メールの文面を考えたり、誰にスカウトメールを送るかのセレクションなども行いました。面接対応した人の数でいうと、100人とちょっとくらいでしょうか。

100人の中には若い人もいればシニアもいました。自分と年代が同じくらいの人だと、いろいろと話しやすいですよね。職務経歴について説明してもらうときに、相づちが打ちやすいというか、共感できる部分が多いので。

それはそれとして本題に移ります。面接した人の中には、「こりゃあかん」と思う方もいらっしゃいました。もう話しているときから「もし自分が面接される側になったら、絶対こうならないようにしよう」と感じたくらいです。つまりリアルタイムで他山の石となるような方です。

3位から発表しましょう。

転職の面接でこんなことを言うと採用されない:第3位は……

目次

志望動機が言えない

転職の理由は、前の会社を首になったから、ということもあると思います。生活のために仕事を選んでいる場合じゃないのかもしれません。

でも、いろんな会社がある中で、この会社の求人に応募してきたわけですから、面接官としてはなんでウチなのか、を聞きたいわけです。いっぱい応募しているのかもしれませんが、せめて前の現場から面接会場に来るまでの間くらい、うちの会社について考えてくれてもいいじゃないか。

でもシニアって、「俺くらいのキャリアがあればなんとでもなる」と思っているのでしょうか、ノー準備で挑まれる方が多い印象です。はっきり言って、そんな深い答えは期待していないです。こっちがドッキリするような含蓄に満ちた洞察とかを求めているわけではなくて、弊社を志望するにあたって自分の中でどういう整理をつけてきているのか。それが知りたいわけです。

志望する理由を聞かれて戸惑うのって、マジでなくないですか。超熱のこもったスカウトメールを受け取ったのでとりあえず雰囲気を感じるだけでも、と思ってお邪魔しました、ならそう言えばいいんです。分野とか業種だけ当たりをつけて、あとはお伺いしてお話を伺ってみようと思っていました、みたいなことでもいいんです。

ペラペラ流暢に話す必要もありません。その場で考えながら、言葉を探しながら真摯に答えようとする様子は、決してマイナスには映りません。

でも、実際は「えっなんでそんなこときくの?……」みたいな感じで言葉が続かない方が多い。もしくは本当に学生並みの紋切り型の「御社のウェブサイトを拝見して、業務領域の将来性を感じたので志望いたしました」くらいのことを、かろうじて口にできるかどうか、みたいな人も多いんです。

そもそも転職の面接って、そういうことを聞く場所です。びっくりしたり、戸惑ったりしないでほしいと、切に願うわけであります。

続いて第2位です。

前職(現職)の悪口を言う

これはアカンですね。でも、不満な点を述べるというレベルではなく、ここぞとばかりに悪態をつく方っていらっしゃるんですよ。

もし、今勤めている会社に不満も不安も何もなく、楽しく仕事をしているのであれば、転職をしようとは思わないわけです。将来の自分を考えたときに「この会社だと成長しない」と感じて転職活動をされる方も中にはいると思いますが、多くの方は何かしら現状にネガティブ要素を感じています。給料が安いとか、部長が気に食わないとか、仕事がつまらないとか、近所にうまい弁当屋がないとか。

それは当然で、面接する側も当たり前だと思っています。40代50代のおっさんおばさんが「成長する環境に自分を置きたくてエントリーしました」みたいなことを言ったら逆に疑われます。

とはいえ、今の会社の悪口をつらつらと話し続ける人は、採用から遠くなることは間違いありません。なぜか。

会社の悪口を言う人は、ほとんどの場合「自分は悪くない、会社が悪い」という論調です。世の中、生きていればいろいろあります。仕事していればいろいろあります。自分の意見に周りの人がいつも賛成してくれるわけじゃないです。会社の意見と自分の意見が合わないことだってある。

それは転職してからも起こりえます。今面接しているこの会社に入ってからも起こりえます。そのときに「自分は悪くない、会社が悪い」ということを滔々と語ってしまう人って、会社が違っても「自分は悪くない、会社が悪い」という対応をするんだろうなと予想できます。

以上、話の流れで「今の仕事や会社で、どんな点を不満に思っていますか?」と訊かれることもあると思います。というか聞きます。採用する側がこういう質問をするときは、字義通り何が不満なのかを知りたいのはもちろん、何か問題が起こったときに自分ごととして捉えず、周囲の環境のせいにする人なのかを知りたいんです。

面接のときに「いろいろ大変ですよね。具体的にはどのあたりを不満と感じているのですか?参考までに、話せる範囲で結構なので教えてください」みたいに促すと、ベラベラしゃべりまくる人ってけっこういます。若い人よりシニア世代のほうが多いですね。コレって、自分のいいところをアピールするための面接なのに、他人の悪いところをアピールするために時間を使っているということです。

かといって聖人君子ライクに「いや、今の会社にはまったく不満がありませんが、さらなる自己成長のために……」みたいなことを言うのも、なんだかなって思います。よっぽど人に言いたくないのか。言葉にすると辛くてたまらなくなって涙がこぼれてしまうからか。ネガティブな言葉を検知して爆発するデバイスを第七頚椎に埋め込まれているのか。

じゃあどうすればいいのか。こうしてください。

「不満は何か」と訊かれたら

  1. 不満について要約して手短に話す。ディテールは省く。
  2. その不満を解消するために、自分がアクションした内容を話す。
  3. 残念ながらそれがうまいこといかなかったので「今の会社で環境を変えていくより、新しい環境で自分の力を発揮したいと判断して転職を考えた」と話す。

3番めがほぼ具体的なセリフになっちゃってますが、そのとおり話して問題ないと思います。もしふつうの会社員が働いている環境に、ネガティブな環境や要因があったら、と考えてください。その人には、改善のためにアクションを起こすことが求められます。採用の世界ではそうなんです。

アクションは、改善のための前向きなことならベストですが、仕事がパツパツでパンクしそうなので早めにアラートを出すとか、お客さんと馬が合わないのでどうしたらいいか同僚に相談する、みたいなことも含みます。または業務に対して人的リソースが足りないので増員を求めるとか。まあみなさん普通にやっていることですよね。というかそれが仕事だ。

で、いろいろやってみたけれど状況変えられなかった。残念だが、自分の時間やエネルギーやリソースをこれ以上同じ会社で状況改善に費やすより、違う状況でリスタートしたほうがベターだと思った。というわけで転職。これでいいんです。

悪口が言いたくなってもぐっとこらえてください。それは面接官の罠です。上の3ステップを忠実に守って回答しましょう。何より話は短くまとめてください。

ここまで読んで「よく考えたら改善のために何か動いたことないっす」という方は、環境・状況改善のために今の会社でまだできることがあると思います。転職活動の前に、そっちの可能性を考えたほうがいいかもです。

続いて1位です。

転職の面接でこんなことを言うと採用されない:第1位は……

話が長い

新卒の学生さんは、就職活動のときに自分をアピールするのが大変です。だってまだ職務経験がないですからね。話のネタがない。しょうがないから「学生のときに打ち込んだこと」を題材にせざるを得ない。

ところがシニアの場合は違います。15年とか20年、30年くらいキャリアがあるわけです。長いキャリアではいろいろなことがあったでしょう。いいこともあった。悪いこともあった。ネタには尽きません。うまく行った仕事もあれば、ポシャった仕事もあるでしょう。シニアになるほど話が長くなる傾向がある、これは間違いありません。だって話すことがたくさんあるんだからしょうがない。

そんなこんなを気持ちよく話していれば、あっという間に時間は過ぎます。でも転職の面接は、あなたの思い出話披露コーナーでもない。徹子の部屋だってずっと昔の話を続けていれば、そのうち黒柳さんが「最近はどうされているの?」と会話をドライブさせてきます。知らんけど。

面接の時間は、だいたい長くて60分、短くて30分しかありません。現在年収の確認や希望年収、入社可能時期の確認といった条件面での確認はだいたい面接の最後に行います。質疑応答の時間も確保しておきたい。かつ、面接担当者から転職希望者に、自社について説明する時間も必要です。そもそも面接は、面接する側か一方的に情報を引き出すのではなく、お互いが情報交換を行う機会です。あなたが自分のペースで好きなだけ話していいわけじゃないんです。

話が長い人は、面接官から「時間配分わかっていない人」「こっちの都合を考えない人」「今自分に何が求められているかわかっていない人」と認識されます。もう基本的なコミュニケーションの問題ですね。

「お話してください」と水を向けられて「やった俺のターン!」と話し始めるのはいいですが、「ずっと俺のターン!」だと思ってはいけません。

120秒で準備しな!

じゃあ、どうしたらいいのか。PREP法で120秒にまとめてください。

  1. まず最初に「P」、つまりPOINTを話す。
  2. 次に「R」、REASONを話す。
  3. 次に「E」、EXAMPLEを話す。
  4. 最後にもう一度POINTを話す。

人間の話すスピードは、1分間=60秒で約300字程度だそうです。120秒なら600字、原稿用紙1.5枚分です。あなたが仕事上で行ったアクションや決断、行動と、なぜそれを行ったのかという理由、その判断に至った背景や具体例をそれぞれ150字ずつミニマムにまとめたのが、「120秒でPREPを話す」というパッケージです。

なんで600字なのか。特に理由はありませんが、原稿用紙一枚半くらいあれば、あなたの長い仕事人生もギリギリまとめられるでしょう。まずはコンパクトにまとまった情報のセットを回答として返し、もし必要なら相手の質問に答える形でディテールを追加していくと良いでしょう。

まとめ

シニアの方は面接で

  1. 志望動機をちゃんと言う
  2. 前の会社の悪口はひとこと程度に
  3. 話は短く要点まとめて

に注意してください!以上!

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